ソーシャルゲームはなぜハマるのか/深田浩嗣
- 2011年 11月3日
- カテゴリー : Internet、PC . ☆☆☆
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2010年から2011年にかけて爆発的に市場が拡大し、今後もさらに拡大が見込まれているソーシャルゲーム。著者は、インターネットサービスを幅広く手がける「ゆめみ」の深田浩嗣氏です。
本書では、ソーシャルゲームの設計から運用までの一連の流れを、日本のモバイルソーシャルゲームのビッグタイトル2つを用いて、解説し、「ゲーミフィケーション」の有用性を論じています。ゲーミフィケーションとは、ソーシャルゲームの持つ様々な仕掛けをゲーム以外の領域に応用することです。
まず第1部で、ソーシャルゲームとは何か、その歴史を紐解きます。「Webの大衆化」という流れの中でソーシャルゲームが広く受け入れられるようになった経緯を考察しています。
続く第2部では、ソーシャルゲームのフレームワークを解説し、心理学的見地から、なぜソーシャルゲームにはまるのかを説明しています。ここで、具体例として、2大ビッグタイトル「釣り★スタ」と「怪盗ロワイヤル」について、開発者へのインタビューをふんだんに織り交ぜながら理解を促しています。ここまで深掘りしてある読み物はあまりないはずです。
そして第3部で、ゲーム以外の領域への応用として、ゲーミフィケーションを論じています。ここまでの詳細な記述に比べると、この3部は具体例も内容も薄いのがちょっと残念です。
さて、全編を読んで、まえがきに戻ると、著者はこう書いています。
「ソーシャルゲームが社会にとって有用である」ことを主張します。
ここは著者と読者である私とで意見が異なる部分になります。確かに本書を読めば、ソーシャルゲームが勢いがあること、ライトユーザーをがっちりと取り込み、止めさせずに、課金にまで繋げる一連のテクニックが確立されてきていること、そして、ゲーミフィケーションは顧客ロイヤリティを高めるための有効な打ち筋の一つであるだろうことは、素直に理解できます。ただ、そこから、「ソーシャルゲームが社会にとって有用」という論理への飛躍は、ちょっと違うんじゃないかと思うのです。そこには、ソーシャルゲームが内在する「悪」というか「裏」というか、そういう否定的な視点が欠如しているからです。悪いところに目を向けず、良いところだけを見て、素晴らしいと賞賛する、それは議論のすり替えではないでしょうか。具体的には、課金へのフローなどは確かによく作られていると感じますが、同時に「怖い」とも私は思うわけです。さらに言えば、こうした入り口のハードルを下げて幅広なユーザーを取り込んで、逃がさず、後からお金をむしりとるという技術だけが注目されることで、旧来の最初に相応の対価を支払うロイヤリティの高い顧客の気持ちが踏みにじられる気がするのです。実際、メジャータイトルがソーシャル化するという発表があるたびに、ネット界隈では失望の声があがっています。これまでゲームメーカーを支えてきたファン層が愛想を尽かすと、ハードもソフトも売れず、ますますケータイのソーシャルゲームだけが生き延びることになります。それを市場の変化と呼ぶのかもしれません。ただ、一人の大作ゲームファンである私は、その変化を非常に寂しく思います。
それはさておき、本書は、そういうことを考えるための基礎知識を学ぶには絶好の教科書だと思います。「前書き」の飛躍した論理展開が無ければ、もっと星を増やしていたと思いますが。
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