小説 会計監査/細野康弘

小説 会計監査 (幻冬舎文庫)

著者は元中央青山監査法人のパートナーです。

読んでびっくりしました。

というのも、本書に出てくる事件は全て現実のものだからです。社名こそわざとらしく変えていますが、どれもすぐに本当の会社名がわかります。

・ムトーボウ
・ABC銀行
・大日本郵便公社
・月光証券

解散した中央青山監査法人が監査をしていて、マスコミで大事件として取り扱われたものばかりです。

事件の内容はおそらく全て筆者が体験した事実に基づいており、多少の推測を加えて、書かれたものだと思われます。つまり、フィクションの形を取ったノンフィクションなのです。
経済小説には実際の事件にインスパイアされてよく似た事件を扱うということが往々にしてありますが、ここまで実際の事実を忠実に作品に持ってきたものは珍しいのじゃないかと思います。しかも、内容が内容です。会計不正事件として監査法人の責任が追及されたビッグなものばかりで、結果として中央青山は長い歴史に終止符を打つことになりました。日本の監査の歴史において極めて重要な意味を持つ事件を、内部者が赤裸々に語っているのです。

小説としては正直さほど面白くはないのですが、ノンフィクションだと思うと、とたんに面白くなります。特に会計の知識が多少ある方は、専門用語が理解できて背景がよくわかるので、面白く感じると思います。一方で会計知識の無い方には多少難解な箇所があるかなと思います。

なぜビッグ4の一角を占めて日本の名門監査法人であった中央青山は潰れたのか。その一つの答えがここにあります。

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