球体の蛇/道尾秀介
今や押しも押されぬミステリー界のトリックスターとなった道尾秀介氏の長編です。
ミステリーと呼ぶには少し違う趣きがあります。純文学のような、青春小説のような、それでいて儚く切ない物語でした。伊坂幸太郎氏からニヒリズムを抜いたような感じです。
死が、残された者にどういう影を落とすのか、その呪縛から解き放たれようともがく苦悩。哀しみと切なさが永遠に続く中に、一筋の救いがあります。
海辺の街並みに生きる哀しみを背負った3人の「家族」。そこには哀しみがあるがゆえに生まれる愛が育まれています。スノードームに投影された、囲まれ、守られ、遮断された世界は、壊されることを望んで佇んでいます。
全てを書き連ねず、読み人に預けた形のエンディング。切なさがリフレインしていきます。

