クラウドコンピューティング 3時間でわかる次世代ITの実像/小林祐一郎
- 2010年 7月4日
- カテゴリー : Internet、PC . ☆☆☆
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インプレス社の「できるポケット+」シリーズです。このシリーズは、持ち運びに便利な新書スタイルながら、オールカラーでわかりやすくインターネット関連の新しい話題を解説しており、私は気に入っています。
さて、本書は、ブームを過ぎて既に定着化しつつある「クラウドコンピューティング」について、大まかな知識を提供するという趣旨で作られた一冊です。
まえがきには、以下のように書かれています。
1 主要なプレイヤーがこれまでにしてきたことと、これから目指すことを大まかに把握する、
2 実際に手近なサービスを利用し、クラウドコンピューティングがもたらすインパクトをリアルな体験として理解する、
という2つをしっかり押さえておけば、1つ1つの細かな動きを大きな流れの中で理解し、クラウドコンピューティングが何を変え、何をもたらすのかを想像できるようになります。
まさに、このスタンスで、薄い本の中に、これでもかというくらいの事例を幅広に掲載してあり、本書だけでクラウドについて一通りわかる、という構成になっています。なのですが、結果として、読者が既知のものについてはちょっとくどい、未知のものについては(特にIT初心者には)少し言葉が足りない、ということになってしまっています。まあ、こういう解説書としては仕方ないことかもしれません。
私が多少未知であった部分は、第4章「セールスフォースとヴイエムウェアの企業向けクラウド」と第5章「Windows Azureとマイクロソフトのクラウド構想」
の2つでした。特にセールスフォースについては、著名なCRMであるという以外に知識がなかったので、本書で詳しく知ることができてよかったと思います。実際にこれを導入するという場面には遭遇しにくいかもしれませんが、IT系のニュースが少し違った目線で見られるようになったかもしれません。また、「仮想化」についても、概念のみの知識であったところに、具体的な事例を紹介していただけたことで、自分の中での理解が深まったと感じます。マイクロソフトのクラウド戦略については既知でしたが、直近で発表されたOffice2010の事例などを通じたトータルな視点を得られました。
他にも知らなかったこととして、TwitterもEvernoteもDropboxも全てamazonのウェブサービス(AWS)をバックグラウンドで使っているということです。どれも昨年くらいから好んで使っているツールでしたので、なるほどAWSがベンチャーにとって非常に使い勝手がいいのだということを改めて感じた次第です。日本ではこのAWSを活用して有用なサービスを提供するベンチャーがあまり出てきていないことが残念です。
著者は最終章で次のように述べています。
もはや「クラウドを利用するか否か」ではなく、「どのように利用するのか」を考えるべきタイミングに来ています。
確かに、既にクラウドは多くのサービスとして我々の日常のコンピューティングに入ってきており、それがコンピューティングと感じないくらいまで浸透してきている、というのが実情だと思います。
そうした流れの中で、我々に求められるスタンスは、旧来の常識に縛られず、新しいものを身軽に受け止めることができる姿勢なのだと強く感じます。もちろん、セキュリティ意識は強く持って、サービスの品質や安全性には最善の注意を払いつつ、便利なもの、効率的なものについては、積極的に活用していくというのが、クラウド時代を賢く生き抜く知恵であろうと感じました。
多少物足りない部分もありますが、クラウドの全体像を俯瞰しておくという意味で、本書はそれなりに有用であると思います。
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