魔女の盟約/大沢在昌
「魔女の笑窪」の続編です。
外見だけで男の本性がわかる能力を持つ主人公「水原」。過去と決別するために戦った前作に続いて、中国、韓国、日本というグローバルな新たな舞台でさらなる戦いを繰り広げます。
女性を主人公にした大沢流のハードボイルドですが、やはりこのシリーズのキャラクターが私はいまいち好きになれません。特殊能力がストーリーにあまり活きないこと、信念が感じられないこと、ストイックではなく日常臭さが出てしまっていること、それらの要素が絡み合って、いまいち読んでいてワクワクしません。
とはいえ、大沢氏らしい粋な文章はところどころに散りばめられています。
男は、一度手に入れたものを失うと、もう二度と得られないと思う。女は違う。一度得られたものなら、また得られる筈だと信じている。
絶望からの再出発は、いつだって男より女が先んじる。
女性を主人公にした大沢ハードボイルドの一番の楽しみは、こうした男女の違いを格好良く表現しているところだと思います。
逃げ出せる場所が、どこかひとつでもあったのなら、ためらわず私はそうしていた筈で、なかったからここにいる。
生き抜くこと。それしか今の私にはない。
「水原」に限らず、自分自身にも当てはまる一文です。そう、逃げ出せないから今ここにいる、そして今を認めることしか出来ることはないのです。
男はね、あんまり重い荷物は背負えない。かわりにいくつも同時に背負って生きられる。女は、数は背負わないけど、うんと重くてもそのひとつをずっと背負って生きていける。
そう、女性の方がいろんな意味で強いことは間違いないと思います。だから、大沢氏は好んで女性のハードボイルドを書き続けているのでしょう。
「水原」の物語は、その手を限りなく大きく広げた上で、全てを収斂させて完結します。ただ、その収め方が強引で都合が良く運びすぎているのが残念です。
このシリーズはこれ以上の続編は不要だと思います。
ただ、この2冊をまとめて映像化するというのは有りだと思います。水原は米倉涼子さんかなと思います。重たい過去を引きずりながらも前を向いて歩き、障害を叩きつぶすという重たい役がうまくはまる気がします。
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