「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト/酒井穣
タイトルからすると、巷にあふれる人材育成マニュアルの類かと思われるかもしれませんが、もっと人事や人材マネジメントの根幹について考察された一冊です。
著者は、「日本で最も人材を育成する会社」を「目指している」IT系ベンチャー企業フリービットの戦略人事部GMです。経歴がものすごい方なのですが、それは本書の裏書きをお読みください。こういう人が人事をやっているフリービットという会社、要注目企業だと思います。こういう時代だからこそ、ヒトこそが最も競争優位を勝ち取る源泉であり、そこに優秀な人材とリソースをかける会社は今後の成長が非常に期待されます。
企業の存続になくてはならない「イノベーション」は、モノやカネではなく、自由意思を持っているヒトだけが起こすことができる
ドラッカーの言う「イノベーション」の源泉となるのはヒトである、という著者の視点には大変共感します。
モノあまり、カネあまりの時代にあって、ヒトこそが企業経営に残された最後の開発ターゲットなのです。今日のように、マネジメントにおける知的格差が世界的に平準化してしまった環境では、いかにモノやカネを動かしたところで、競争優位は確保できません。
もはやモノばかりではなくて、カネですらもコモディティーという時代なのです。
人材にどれだけのリソースを投入するか、投資するかが、これからの企業の成否を決めるということです。
私は人間を強者と弱者、成功者と失敗者とにはわけない。
学ぼうとする人としない人にわける。
ベンジャミン・ハーバー(社会学者)
第二章の扉に書かれているこの言葉は、この本のベースと言えるかもしれません。自ら学ぼうとする人材をどれだけ増やすことができるかが、本書で描く人材育成のグランドデザインの骨子だからです。
人事に関連する方々だけではなく、経営者や経営戦略担当者、そしてより多くのビジネスマンに是非読んでもらいたい、これからの人材育成(個人の立場からすれば成長)のモノサシとなる一冊だと思います。
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