グーグル時代の情報整理術/ダグラス・C. メリル
GoogleのCIOを務めたダグラス・C. メリルによる情報整理術ということで、さぞかしGoogleを初めとするITを駆使した新世代の情報整理手法が盛りだくさんなのだろうと思って読みましたが、実際にはそうした手法の紹介はほんの一部で、その大半が人生におけるリスク管理を主体とした生き方の指南書という内容でした。それは彼が失読症であったことや認知科学を勉強したことなどの彼の得意な経歴から導き出されたものです。
下記に彼が唱える整理の原則20条を引用します。指南書であるというのがよくわかると思います。
1.脳の負担がなるべく少なくなるように、生活を組み立てよう
2.なるべく早く、頭の中から情報を追いだそう
3.「ながら作業」は一般的に効率を低下させる
4.物語を使って覚えよう
5.いつもそうしているからといって、そうしなければならないわけではない
6.知識は力ならず。知識の共有こそ力なり
7.思いこみの制約ではなく、現実的な制約をくぐり抜ける術を身につけよう
8.自分を決めつけるのではなく、自分自身に心から正直になろう
9.制約を無視すべきケースを知ろう
10.エンジンをかける前に、どこへ向かっているのか、どうやって向かうのかを明確にしよう
11.目標の達成方法に幅を持たせよう
12.情報を整理するのではなく、検索しよう
13.本当に記憶の必要なことだけを記憶しよう
14.大きなかたまりを、小さなかたまりに分けよう
15.週一回、重要な情報を見直す時間を設けよう
16.完璧な整理術などない
17.あとで検索しやすいように、デジタル情報には関連キーワードを追加しよう
18.文脈の変化を見越して、メモを取っておこう
19.文脈の似た仕事をまとめて行おう
20.仕事とプライベートのバランスを取るのではなく、融合させよう
以上が本書の要約でもあるわけですが、ご覧になってわかるように情報整理「術」的な項目はほんの少しであり、人生学的な内容になっています。
数多の情報整理の本が、テクノロジーありきや、テクニック・整理方法ありきで出来ていますが、本書は「16」にあるように「完璧な整理術などない」という前提のもとに、各自に合った情報整理や生き方のためのヒントを提供しています。
個人的には彼の生きるヒントには共感するところが多いのですが、「グーグル時代の」や「情報整理術」といったタイトルで本書を選んだ読者層にはその要求に応えていないように思えますし、私自身も期待した内容ではなかったことに失望を感じ得ません。せめて「グーグルCIOによる混乱した時代を生き抜くヒント」みたいなタイトルであったならと思います。
情報整理「術」を求めている方には残念な内容ですが、ストレスフルな現代を効率的に生きていくためのコツを探している方には良い内容だと思います。
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