アップル、グーグル、マイクロソフト/岡嶋裕史

アップル、グーグル、マイクロソフト クラウド、携帯端末戦争のゆくえ (光文社新書)

アップル、グーグル、マイクロソフト。
グローバルIT企業の三雄(amazonを加えると四天王ですね)の戦略を通して、クラウド時代に企業が生き残るための道標を検討した一冊です。

一章:クラウドとは
二章:クラウドの古さと新しさと主要企業
三章:マイクロソフトの戦略
四章:グーグルの戦略
五章:アップルの戦略
六章:クラウドでも出遅れた日本

あまり語られないことですし、逆に出遅れたとの意見もありますが、オンプレミスの覇者であるマイクロソフトのクラウド戦略がとても理にかなったものであることが本書でよくわかります。彼らはオンプレミスのメリットを唱えながら、部分的にクラウドに手を広げていくという、勝者の戦略で闘おうとしており、それは戦略的にとても正しいと言えます。ただし、その目論見がうまくいくかどうかは、まだこれから(数年以内にある程度の決着がみられるかも)のことです。

一方でグーグルは、クラウドを基本思想として全ての情報を網羅しようとしています。マクロソフトが下のレイヤーから上を狙うのに対して、グーグルは上のレイヤーから下に降りてこようとしています。そして、彼らの戦略もまた勝者の戦略であり理にかなっています。クラウド時代を制するにもっとも近い存在であることは周知です。

次の比較プレイヤーとして、著者はアマゾンではなくアップルを選びました。アマゾンのサービスはIaaSであり、PaaSの比較対象にならないというのがその理由です。一方でアップルは流通と課金というプラットフォームを掌握しつつあり、独自の路線でクラウド時代にさらなる跳躍をすると思われます。また、ハードウェアとプラットフォームを緊密に結びつけた商品・サービス戦略は他の追随を許さないほど、熱烈な信者を囲い込んでいます。彼らの戦略もまた時代のニーズを敏感に察知した勝ち組の一手だといえるでしょう。

現在キープレイヤーとなりつつある企業が共通して持つ要素は、クラウドへ移行しようとする潮流に乗ってそれを利用すること、クラウド上を行き来する情報の流れと出入り口に関わることである。

まさにこれからの数年間でクラウドは当たり前のものになり、それをユーザーが意識しないで使う時代になるでしょう。そこに勝ち組として列挙されるのは、四社(グーグル、アマゾン、マイクロソフト、アップル)以外は今のところ未知数であり、四社だけかもしれませんし、もう何社か台頭してくるのかもしれません。一つのキーワードは携帯、モバイルでしょう。いつでも、どこでも、クラウドにあるデータやサービスを扱えるためには、それに最適化された携帯デバイスが不可欠だからです。既にアップルはiPhone、iPadで先鞭をつけています。グーグルもアンドロイドで猛追しています。ここにガラパゴス化して最先端の技術が集結している日本の携帯電話メーカーが割ってはいる可能性はまだあると思います。また、iPhoneアプリやアンドロイドマーケットなどで販売できるソフトウェアにおいても、優れたアイデアがあればEvernoteのように全世界で通用する商品が生まれる可能性があります。クラウド戦国時代の幕開けです。ワクワクしますね。

本書は、三社の戦略事例を通して、クラウドがメインストリームになる近い将来に何が待っているのか、どう戦うべきなのかという示唆を与えてくれます。平易な文体で二時間程度で読み終わる良書であり、コストパフォーマンスが高いと言えます。新しい情報は少ないですが、頭の整理にはうってつけです。今を知り未来を読むのにとても良いお勧めできる一冊です。

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