鉄鼠の檻/京極夏彦

圧巻という言葉がふさわしい(氏の書はどれも量的にそうではあるが)京極夏彦の京極堂シリーズ第4冊。
これまで以上に分厚い本書は文庫で6センチもの厚さです。
長い、長すぎる、深い、でありながら面白いので、宗教をモチーフにした難解な部分があるにも関わらず飽きずに最後まで楽しませてくれます。
宗教を、しかも古典宗教を題材にしたミステリーというのは、その危うさからして、なかなかお目にかかれないものだとは思いますが、本作が孤高の一冊になることは明らかでしょう。
禅とはなんたるか。生きることとどう関わってくるのか。
生きることが即ち修行であり、生きていることが悟りなんだよ。ただ足ることを知る、それだけでいいんだ。
作中で京極堂が語るこの一言が端的にそれを表しているように感じます。
禅についても、宗教一般についても、あまたの書物がありますが、本書はそのどれよりも的確でわかりやすい入門書になっていると思います。著者の研究ぶりたるや恐れ入るところです。
難題に取り組みながらエンターテインメントとして昇華させる筆力たるや、日本文学界に誇れる一人ではないかと思います。
読後は、寺院を観に行きたくなります。
深い深い禅宗のほんの先っぽを見た、そんな気分になれる一冊です。
