ヘーメラーの千里眼 /松岡圭祐

ヘーメラーの千里眼 (上) 小学館文庫 ま 2-15


松岡圭祐氏の「千里眼」シリーズ。文庫上下巻組の長編作品です。
今回も例によって事件のスケールは大きいのですが、それより何より、主人公岬の青春時代の想記が文章の半分近くを占めるくらい克明に描写されており、岬の人間像がさらに深掘りされ魅力的に描かれている点は特筆すべき点でしょう。
ただし、舞台設定上仕方ないのでしょうが、古巣の自衛隊を中心にした活躍は、臨床心理士の岬というより、女性初のF15パイロット岬という形になっていて、前作で近づいた感のあった嵯峨との話も出てこない(というか嵯峨は登場しない)し、心理学的描写もほとんど見られないという点は、個人的には残念です。

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